CSOについて

CSOとは

CSOとは、Contract Sales Organizationの頭文字に由来し、「医薬品販売業務受託機関」と訳されることもあります。製薬企業を主な取引先として、医療用医薬品等の適正な使用と普及を目的に、MRなどの専門人財派遣や営業・マーケティング及びその周辺の課題に対するソリューションを提供する企業の総称です。


現在、公益財団法人MR認定センターに登録済みのCSO事業会社は14社あり、そのうちの5社が2011年設立の日本CSO協会に加盟しています。当社推計では、CSO所属のMRのうちおよそ9割が協会加盟5社に所属していると考えられます。(※2023年現在)

日本CSO協会加盟社(50音順)
  • IQVIAサービシーズ ジャパン株式会社
  • アポプラスステーション株式会社
  • MIフォース株式会社
  • サイネオス・ヘルス・コマーシャル株式会社
  • シミック・イニジオ株式会社
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企業によって割合は異なりますが、事業の主軸となっているのはMR人財の派遣サービスです。そして、CSO企業に所属し、契約に基づき受託業務を行うMRを「コントラクトMR」と呼びます。

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CSOのはじまり

CSO事業は1983年にイギリスで製薬業界向け人財紹介会社でスタートしました。製薬企業は新薬の発売時や既存薬剤の適用疾患の拡大時など、一定の期間にMRを増員する必要があります。製薬企業で、必要な人員数に合わせて組織を構築するとなると、全てを正社員で雇うと膨大な人件費がかかり、余剰人員が発生する可能性もあります。また、採用や人材育成には大きな負担がかかります。このような特有の営業/人事戦略のニーズに応えて、CSOの仕組みが確立されていきました。


CSOの利用により、製薬企業はアウトソースを通じて必要な人員を柔軟に確保し、組織の柔軟性を維持しながら営業活動を最適化することができます。また、経営の合理化と生産性の最大化は、新薬開発費への投資を強化・継続することにもつながります。


このような背景から、経営の合理化が先行する欧米諸国では、製薬企業にとって重要なニーズを満たす手段としてCSOの活用が浸透していきました。

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国内におけるCSOの浸透

日本においては、1998年に初めてコントラクトMRサービスが始まりました。最初の主要な目的は、主に製薬企業のスポット的なMRの欠員補充でした。その後、大手外資系企業がCSOの活用を推進し、2010年代初頭には急速にコントラクトMR数が増加しました。認知度が高まるにつれ、国内の企業(内資)でもCSOの利用が拡大し、日本においても製薬業界の営業戦略の一環として確立されていきました。


固定人財(メーカーMR)を最小限に自社で雇用し、適用拡大や競合品発売時など、上市時に限らず、変動する営業部隊の必要ボリュームを見据えて、営業戦略としてアウトソースを機動的に利用する動きは内資製薬企業や中小規模の製薬企業にも広がりました。


下図に示すように、製薬企業では経営合理化の背景により、2014年以降、MRの総数が減少している一方で、CSO企業の利用割合は増加傾向にあり、コントラクトMRの数も2019年以降増加に転じています。

国内におけるCSOの浸透

サービス形態とコスト

現在のCSOサービス

製薬・ライフサイエンス業界を取り巻く環境の変化と、クライアントの多様なニーズに対応することで、サービスを発展させ、現在ではコントラクトMRの人財派遣だけでなく、様々なサービスを提供しています。

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ico_cso_01クライアントの拡大

製薬企業からライフサイエンス・ヘルスケア業界へ

2010年代初頭、国内のCSO業界の急速な成長をもたらしたのは、大手の外資製薬企業でしたが、国内(内資)製薬企業はもちろん、新興のバイオファーマなど、資本や規模を問わず、幅広く製薬業界全体へと活用企業は拡大しました。


また、営業部門への人財サービスだけでなく、周辺分野のマーケティング部門やメディカルアフェアーズ、人財開発部門など、製薬企業の中でも活用分野が拡大しています。


さらに、製薬企業以外にも医療機器メーカーやヘルスケア産業に新規参入する化学メーカー、デジタルセラピューティクスの開発企業などでの活用も増加しています。


今後さらに、医療機関や自治体等での活用など、CSOにおける人財・マネジメントの専門性を活かしたサービスの発展が予想されます。

■製薬企業:メガファーマ/スペシャリティファーマ/ジェネリックファーマ/ベーシックドラッグ
■活用部門:営業部門/マーケティング部門/研修部門/メディカルアフェアーズ部門/安全性部門 等
■業種:製薬/医療機器/動物薬/化粧品/DTx/医療機関/異業界からのヘルスケア業界参入

ico_cso_02人財の多様化

専門人財のバリエーションと個々の多様な経験

MR職以外にも、看護師や、医療機器営業担当者、MA/MSL、トレーナー、薬剤師、MD等、専門人財のバリエーションが広がっています。医薬品に関するコミュニケーションのフェーズやターゲットごとの緻密な戦略の実行ユニットとして様々な場面でコントラクト人財が活躍しています。

また、MR職についても、多種多様な疾患領域経験を持つ社員が増加しているほか、CSO企業で育成・指導を行う異業種出身者や、PMSなど一部の業務に特化したMRなど経験特性を活かしたサービスモデルが開発されています。

■MR:MR経験者/異業種出身者/大学担当/リモート専任 等
■新たな職種:看護師資格保有者(ナースエデュケーター/ペイシェントサポート)/MA・MSL/医療機器営業/薬剤師資格保有者/MD/マーケター 他

ico_cso_02サービスの拡張

人財サービスから、包括的ソリューションプロバイダーへ

欠員補充から始まったCSOの人財サービスは、現在では新製品の上市時だけでなく、特定品目の営業強化や特定エリアの活動強化など、戦略的なシーンにも広がっています。

なお、欠員補充は今でもニーズの高いサービスですが、経営的な観点から出産・育児・介護・やリスキリングなど、ダイバーシティやタレントマネジメントを意識した活用へと意義が変化しています。

また、人財サービスにとどまらず、プロモーション業務の委託や、トレーニング・アセスメント、さらには営業・マーケティング等関連分野に関するコンサルティングなど、CSO企業内で蓄積したノウハウを活用したソリューションへと進化しています。

■提供サービス:人財サービス/トレーニング・アセスメント/営業・マーケティング・メディカルアフェアーズ組織立ち上げ

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契約形態

前述の通りサービス拡大により様々なケースがありますが、大きく分けて2つの契約形態に分かれます。

 

①人財派遣サービス
②フルアウトソース

 

契約形態

 

①人財派遣サービス

CSOが雇用した人財が、クライアントの業務環境で就業

 

  • 業務指示はクライアント(営業所長等)から
  • 労働安全衛生管理義務はクライアントが負う
  • 基本契約+スタッフごとの個別契約書締結

②フルアウトソース

CSO内で組織したチームで、一任された業務を遂行

 

  • 業務指示はCSOマネージャーから
  • プロジェクト設計の自由度が高い

契約形態による違い

業務委託契約
派遣契約
クライアント内での運用・管理 不要
事前協議の運用方針のもとで 
CSOが管理運用責任を負う

指揮命令/労務管理/
台帳管理等は派遣先が担う
クライアント側の指揮命令権 無 
進捗報告等必要なやり取りは マネージャーを通じて実施
有 
スタッフと直接やり取りが可能
ヘッドカウント 影響なし 増加
費用 派遣と比べ高め 
マネジメント経費や活動経費
などが委託費用に加算
抑えやすい 
マネジメント経費等の 
別途請求は発生せず
プロジェクト設計の自由度 高 
プロジェクトの目的等に応じて柔軟に設計

派遣法等関係法令とプロジェクトの目的等をすり合わせ設 計

派遣費用

人財派遣業を行う企業には、労働者派遣法に基づいた情報開示が求められており、CSO企業各社も情報提供を行っています。一般的に事務職等の登録型人材派遣と比較すると、CSO企業のマージン率は高い傾向です。

 

これは、プロジェクトマネジメントに伴う人件関連費のほか、以下のような経費を派遣元会社として負担していることに起因します。

当社におけるマージンに含まれる項目(一部)

  • 有給休暇費用(派遣労働者の年次有給休暇取得時の賃金)
  • 教育費・福利厚生費(借上社宅、永年勤続表彰制度、インセンティブ旅行等)
  • 派遣労働者の募集・採用に係る費用
  • 派遣労働者就業管理費用(日当・雇用管理・就業中のフォローなどに係る費用)
  • 派遣事業運営費用(社員人件費・システム管理費・オフィス賃貸料など)

情報開示におけるマージン率

労働者派遣に関する料金の額の平均額から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した額を当該労働者派遣に関する料金の額の平均額で除して得た割合です。

 

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ただし、本情報開示における数値は、様々な派遣サービスの平均値であり、実際のコストについては契約内容によって大きく異なりますので、各CSOや当社営業担当までご相談ください。
なお、派遣費用に大きくかかわる項目としては、以下のようなものがあげられます。

 

  • プロジェクト契約形態(派遣型/フルアウトソース)
  • 人財要件
  • 契約期間
  • プロジェクト組織体制
  • プロジェクト組織体制
  • 研修内容(事前研修/稼働中研修)
  • 費用分担(営業車/通信端末等、業務遂行に必要な各種費用)
  • 利用システム(勤怠/経費精算/契約書管理等)
  • 導入スケジュール

アウトソーシングのコストメリット

人件費に対するコストメリット

人財派遣業を行う企業には、労働者派遣法に基づいた情報開示が求められており、CSO企業各社も情報提供を行っています。一般的に事務職等の登録型人材派遣と比較すると、CSO企業のマージン率は高い傾向です。

 

これは、プロジェクトマネジメントに伴う人件関連費のほか、以下のような経費を派遣元会社として負担していることに起因します。

 

給与手当
給与/賞与/インセンティブ/社会保険料/退職金/福利厚生費/各種手当(日当、休出、残業、住居、扶養 等)
法定福利
社会保険料(健康保険、厚生年金保険、介護保険)/労働保険料(雇用保険/労災保険)
法定外福利
健康診断/社宅費/転居費/財形貯蓄/冠婚葬祭関連/保養施設/自己啓発支援 等
退職金
教育研修費
人財採用費

見えないコスト

内部人件コスト
採用業務/人事業務/研修業務/就労管理業務/マネジメント 等
運営コスト
貸与品リース料/支給品/システム管理/インフラ整備/安全衛生対応 等

コストモデルと契約形態の比較

契約形態にかかわらず、「人件費の変動費化」というメリット以外にも、CSOのアウトソーシングはコスト削減効果が期待できます。下の図は、製薬企業の自社採用、人財派遣、フルアウトソース(業務委託)の3パターンについて標準的なモデルをもとに試算したものです。

 

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その他のコスト効果

  • 固定費の変動費化
  • 外注費になることによる税制メリット
  • 見えないコストも含めて可視化し、正確に成果を評価
  • 導入の理由/背景
  • プロジェクト開始時期/期間
  • 人財要件(求める経験/スキル)
  • 就業条件(勤務地/勤務時間等)

導入ステップ(スケジュール)

フルアウトソース(業務委託)の場合は、委託業務内容によって大きく異なるため、ここでは標準的なコントラクトMR人財の派遣サービスについて取り上げます。人員規模や人財要件にもよりますが、おおむねご依頼から稼働までに数カ月~半年程度を要します。

 

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01.ご相談・ヒアリング

課題や要望について発注先であるCSO企業にお伝えください。

 

  • 導入の理由/背景
  • プロジェクト開始時期/期間
  • 人財要件(求める経験/スキル)
  • 就業条件(勤務地/勤務時間等)
Point

人財要件については、詳細が決まっていない場合でも相談可能です。当社の営業担当者はヒアリングを通じてよりマッチングが高まる人財要件を提案いたします。
必要に応じて、CDA/NDAを締結します。

02.基本契約

ご発注の確定後、すべての派遣メンバーに共通する項目についての基本的枠組みを定める基本契約を行います。労働者派遣法、施行規則に沿って各種条項の取り決めを行います。

03.リソースプラン

CSO各社それぞれの指針のもと、プロジェクトにアサインするメンバーのセレクションを行います。

04.スキルシート確認

スキルシート等(企業により書式/内容などは異なります)によって、人財要件に基づいたリソースプランをご確認いただきます。

 

Point

労働者派遣法に基づき、履歴書等の個人を特定する情報の提出をCSO企業に要請することはできません。またCSO企業もこうした情報を開示いたしません。
アサイン予定のスタッフの希望がある場合は、会社訪問や業務確認面談をお願いする場合があります。

05.個別契約

アサインされたメンバーごとに、派遣先での業務内容、就業場所、指揮命令者など詳細な項目の取り決め、個別契約を締結します。

 

Point

新たな契約を締結する際には、労働者派遣法によって定められた抵触日の通知や派遣先管理台帳の整備が必要となります。(当社の場合、初めてコントラクトMRを導入されるケースの対応経験も数多くあります。導入企業担当者様のサポートを行いコンプライアンスを徹底した導入支援を行います。)

06.セットアップ

アサインされたメンバーごとに、派遣先での業務内容、就業場所、指揮命令者など詳細な項目の取り決め、個別契約を締結します。

 

07.事前研修

ご要望に応じて、稼働前に2週間~数カ月程度の事前研修をCSO企業で実施することもあります。

 

08.就業スタート

配属先の各地において、MR業務を開始する場合と、クライアントでの製品研修等を経て各地での稼働を始める場合があります。

 

09.定期面談

配属先の上長(営業所長等)、クライアント本社(営業部門等)との定期的な面談を実施し、プロジェクトの進捗報告を行うほか、配属メンバーとも定期的に面談を行い、コーチングを行います。

 

特長と運営体制

CSOの強みと特色

CSO企業それぞれに特色を持っていますが、共通する項目もあります。

 

シミック・イニジオの特長を知る

多様な人財

CSO所属の社員で最も多くを占めるMRは、個々に経験してきた疾患領域や担当施設、担当エリアなど、は十人十色です。また、CSO内でのプロジェクト経験を重ねることで、数年単位で数多くの企業文化、営業戦略、疾患知識に触れた人財は、多くの引き出しを持っています。また、コントラクトMRならではの中立性と幅広い経験がPatient Centricityを体現するMR活動につながっています。


さらに、MRだけでなく、サービスの拡張とともに看護師やMSL、医療機器営業など多くの職種の人財がCSOで活躍しています。


それぞれの専門性や視点を持つ人財の多様性は、大きな強みの一つです。

コントラクト人財の特性

契約期間やミッションが明確なプロジェクトチームのメンバーとして就業するコントラクトMR人財には職種を問わず共通した特性があります。

 

  • 目標達成意欲
  • セルフマネジメント能力
  • 組織貢献意欲

多様なプロジェクトの運用経験

CSO企業は自社製品を持ちませんが、各社において多くのクライアントの製品プロモーションに携わり、幅広い疾患領域のプロジェクト運営を行っています。


また、各CSO企業において特色あるサービスモデルの開発やプロジェクト運用体制の構築運用経験を重ねています。


こうした業界横断の経験値を評価いただき、企業ごとに異なるクライアントの課題解決のためのパートナーとしての役割に期待が高まっています。

変化に対応するマネジメント

2020年以降、急速にリモート環境でのマネジメントが社会全体に広がりましたが、実はCSO企業は従前よりリモートマネジメントを実践していた業態です。


働き手の意識の変化や市場の環境変化に対応することが、常に事業の土台となっていました。変化に対応するマネジメント力は、CSO企業にとってクオリティを示す重要項目であり、そのブラッシュアップに努めています。

プロジェクト体制

解決すべき課題によってプロジェクト体制は異なりますが、当社の体制をベースにCSOによるプロジェクトチームの構築・運用体制について紹介します。


※CSO企業によって、組織構成や名称などは異なります。

 

プロジェクト体制

プロジェクト関係者の役割

事業開発担当者:ソリューションの企画・提案
  • プロジェクト開始時の契約締結までのクライアントとの窓口
  • 稼働後についても、クライアント担当者としてプロジェクトマネージャーと連携
プロジェクトマネージャー:プロジェクトの統括責任者
  • クライアントとの窓口として、プロジェクトの進捗レポートや評価の共有
  • プロジェクトチーム内情報伝達
  • (フルアウトソースの場合)戦略立案、指揮命令
エリアマネージャー:メンバーの指導育成/プロジェクトマネージャー補佐

※一定以上のチーム規模で設置

 

  • メンバーに対するコーチング
  • 支店長/営業所長との定期面談
フィールドリーダー:プロジェクト運営サポート

※一定以上のチーム規模で設置

 

  • プロジェクトメンバーから選出
  • プロジェクト活動に加えてチーム内連携向上を支援
プロジェクトメンバー:業務の遂行
  • 人財要件と照らしてアサイン
  • 配属先営業所等の一員として、業務にあたる
人財開発担当者:事前研修/フィールドトレーニング

※契約内容によって設置

 

  • 配属前における製品研修/疾患研修
  • 稼働中のOJT、継続研修の実施
リソースプラン担当者:既存社員・外部採用人財の配属計画
  • 人財情報を集約、管理
  • 人財要件/社員の経験・キャリアプランに照らし人財配置を計画
  • プロジェクトマネジメント/リクルーティング部門と連携
プロジェクトサポート:サービスフィーのご請求
  • プロジェクトごとに専任担当者を設置
安全性管理担当者:GVP/GPSP関連業務

※委託業務に関連業務が含まれる場合に設置

 

  • 事業部門と独立して専門部署を設置
  • 法令およびクライアントのプロモーションガイドラインに沿って運営
その他

法務、人事等の本社機能によってコーポレートガバナンス体制を強化し、人財サービス企業として健全な運営と社員がパフォーマンスを発揮するための仕組みを設けています。

最適なサービス提供

プロダクトライフサイクルや、クライアント企業の状況などにより、最適なソリューションは異なります。さらに、先行きの不透明感が高まる経済環境においてクライアントが掲げるビジョンの実現に向け、変革を続けるためにCSOをフレキシブルリソースとしてご活用ください。

 

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