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業界研究 「CSO」とは?
当社の主な事業であるCSO事業について、その歴史や働き方など業界にまつわることを幅広く解説いたします。
「そもそもCSOって何?」「どんな働き方がある?」等CSO業界への疑問の解消にお役立てください。
CSOとは
CSO(Contract Sales Organization=「医薬品販売業務受託機関」の略)は、製薬・ライフサイエンス業界で医薬品の営業・マーケティング分野に関わるサービスを提供する企業のことです。イギリスで生まれ、欧米諸国を中心に活用が広まり、1998年から日本にも取り入れられました。
「CSO事業会社で働くMR」のことを「コントラクトMR」と呼びます。現在、日本には14社のCSO企業があり、約4000名のコントラクトMRが医療の現場で活躍中です。(Data:㈶MR認定センター 2021年度版MR白書より)
また、製薬企業等でのCSOの活用拡大とCSO業界のサービス拡張に伴い、職種、サービスの幅も徐々に広がりを見せています。
CSOの歴史
CSOの誕生
冒頭お話した通り、CSO(コントラクトMR)はイギリス発祥で、元々は社員の急な退職など、スポット的な欠員を補うことが目的でした。
しかし一方で、製薬企業は、新薬の発売時や既存薬剤の適用疾患の拡大時など、一定の期間に大きくMRを増員する必要が生じる、特有の人材事情も抱えていました。製薬ビジネスはいわば特許ビジネス。莫大な費用をかけて研究開発した新しい医薬品でも、独占的に販売できるのは5~10年程度と限られており、この期間に適正かつ最大の普及を図らなくてはなりません。
製薬企業では、必要人員の最大数に合わせて組織づくりを考えていましたが、その全てを正社員で雇うとなると、膨大な人件費が「固定費」となってしまい、余剰人員が発生してしまう可能性も企業にとってリスクです。また採用や人財育成等の負担も非常に大きなものになります。
CSOの仕組みが生まれた背景には、この必要時期を見据えて、アウトソースの利用によって、柔軟に必要人員を確保することで、組織の柔軟性を維持しつつ営業活動の最適化を図るねらいがありました。
また、経営を合理化し生産性を最大化することは、新薬開発費への投資を強化・継続することにもつながります。経営の合理化が先行する欧米諸国では、こうした潜在的なニーズを追い風にCSOの活用が浸透していきました。
日本での広がり
日本では、1998年に初めてコントラクトMR事業が始まりました。
当初の主な役割は、やはり製薬企業MRの欠員補充。その後、大手外資系企業がCSOの活用を進め、2010年代初頭には一気にコントラクトMRの人数が増加しました。認知が高まるにつれ、国内(内資)企業でもCSOの活用が広がり、日本においても製薬業界の営業戦略の一つとして定着していきました。下図のように、製薬企業における経営合理化を背景に2014年以降MRの総数が減少する一方で、CSO企業の活用割合は増加傾向にあり、コントラクトMRの人数も2019年以降増加に転じています。
CSO業界の成長に伴う変化
製薬・ライフサイエンス業界を取り巻く環境が変化していく中、CSOに対する需要が高まる理由には、製薬企業からの多様なニーズに呼応して、CSO業界が発展し成長してきたことが挙げられます。
① コントラクトMR活用ニーズの拡大
欠員への対応として始まったコントラクトMRの活用ですが、現在では出産・育児・介護の対応など、ダイバーシティを意識した経営的な観点での活用へと変化し、その意義が高まりました。
またCSO人財の活用場面は、新製品の上市(発売)時に限らず、特定の品目の営業強化や特定エリアの活動強化など、より戦略的なシーンが加わりました。さらに人財を派遣するのではなく、一つの製品のプロモーション業務すべてを一括して請負う、フルアウトソースでの活用も広がっています。
② ビジネスの拡張と人財の多様化
コントラクト職種については、MRだけでなく多様な職種へのニーズも高まっており、サービスの幅も徐々に広がりを見せています。また、営業・マーケティングといったいわゆるCSO事業のみならず、研修やコンサルティングに関わる分野など、多様化するニーズに応えるために、CSOビジネス展開する各企業も事業を拡張し、それぞれに特色ある人財の活用を進めています。
当社でも看護師がその知識と臨床経験をもとに、病棟看護師などの医療従事者に対して情報提供を行う「ナースエデュケーター」や医療機器営業、最新の研究内容や論文等の情報を医療関係者に提供する「MSL(メディカルサイエンスリエゾン)」など様々な職種の方が活躍しています。
年齢層も30〜40代中心から20代〜60代に大きく拡大し、長く働く人が増えたことで、多くのロールモデルが生まれています。
③ 活用企業の多様化
CSOを活用する企業も急速に拡大しています。
当社はすでに国内で事業を展開していた大手外資系の製薬企業が中心でしたが、現在では規模や資本の内外にかかわらず、様々な製薬企業がCSOサービスを導入しています。
また、商社など製薬以外の業界から製薬関連の事業に参入する企業や、新興バイオベンチャー、日本の市場への新規参入を目指す海外企業も増え、日本CSO協会の調査によると、CSOの活用企業数は、2021年度に138社にも上りました。これは10年前のおよそ2倍の差です。
市場環境
海外との比較
ここで、海外との比較をしてみると、現在のMR総数およびコントラクトMR活用率を示したグラフはこのようになっています。
国別CSO企業の活用率
また、各国の総人口に対するMRの割合は以下の図の通りです。
総人口 | MR 総数 |
MRの 割合 |
|
---|---|---|---|
英国 | 約6850万人 | 7,600人 | 0.01% |
米国 | 約3億3480万人 | 53,000人 | 0.02% |
日本 | 約1億2560万人 | 53,000人 | 0.04% |
※総人口は世界人口基金の世界人口白書2022年度版より引用
このように、日本とアメリカではMRの人数がほぼ同じ、総人口が日本の約3倍のアメリカと比べると、日本のMR数がかなり多いことが伺えます。
一方、コントラクトMRの活用率を見ると、他2国が10%を超えているのに対し、日本はまだ7%程度。前述のとおり、日本のコントラクトMRの活用は海外に追随するように発展してきました。医薬品に関する制度や商習慣の違いがあるとはいえ、製薬業界自体がグローバル化している中で、CSO業界の規模感も世界標準に近づき、日本のCSOの市場・活用はまだまだ成長する余地があると言えます。
CSO業界の展望
少子高齢化の進展による社会保障費のひっ迫や、医療の専門分化、地域包括ケアシステムの推進 等の環境変化を背景に、製薬企業の経営課題が複雑になっていく中で、CSOの活用方法も、製薬企業の課題解決の手法の一つとして、より戦略的・専門的に進化していくと考えられます。
一方、クライアントとなる製薬企業でも、生産性の向上や柔軟性の高い組織づくりがますます重要になっていきます。それはすなわち、CSOのようなサービスプロバイダーの存在感も高まることを示しているのです。
AIなどの情報通信技術が発展する中、人が直接かかわる意義を高めるためにも、私たちCSO業界にはクライアント企業の課題解決と、よりよい医療の実現に貢献できる質の高いソリューションの開発、そしてそれを実現する人財力が求められています。
CSOでの働き方
CSO業界で多くを占めるコントラクトMRの場合、CSO企業とクライアント企業との契約に基づいて組織する「プロジェクト」の所属となります。そして多くの場合、クライアントの営業所等に派遣される形で勤務しています。
そのため、かつては「派遣MR」と呼ばれたりもしたのですが、実際の雇用形態はいわゆる「登録型の人材派遣」とは異なります。登録型派遣が「間接雇用」と呼ばれるのに対し、CSO企業での雇用形態は、CSO企業に正社員もしくは契約社員として雇用される「直接雇用」となるからです。
定められた期間、配属先のプロジェクトに従事し、終了すると次のプロジェクトへ配属されます。次の配属先が確定するまで期間が空く場合も、雇用の続く限り社員として給与等も保証されます。
プロジェクト配属期間においての業務内容、マネジメント方法はプロジェクトの契約形態(人財派遣or業務委託)やCSO企業によっても異なります。
当社のマネジメント体制についてはこちらの記事も併せてご覧ください。
CSOで働く魅力
様々な疾患領域や製品の経験・知識を得ることによる自己成長
一つの会社に所属しながらバリエーション豊富なクライアント先で働くことで、製品の開発パイプラインに左右されることなく、短い期間で多くの疾患領域・製品に携わることができます。よりスピーディーに多くの知識が得られ、経験や知識の幅が広がるため、キャリアの選択肢も増やせます。
高い社会貢献性
MRやMSLなどの医師をはじめとする医療従事者へアプローチする職種は、最終的に医薬品を必要とする患者さんのための、より良い医療の実現に貢献できる仕事の一つです。
それに加えて製薬企業を顧客とするCSOサービスを通して、医薬品業界や医療業界全体、ひいては社会福祉そのものに貢献するという大きなやりがいを感じられるのも、CSO企業に所属するひとつの魅力です。
このほか、コントラクトMRに向いている人とそうでない人との違いや、当社が求める人材像は別のページや採用ブログにまとめていますので、そちらも併せてご覧ください。